微小残存病変とは。 微小残存病変

病変検出不能の指標とする微小残存病変陰性データをベネトクラクスの添付文書に追記

微小残存病変とは

WHO分類は2017年に改訂され,B細胞系およびT細胞系にProvisional entityが加わった( 表2) 2)。 ALLの初回治療はリンパ系腫瘍に有効性の高い抗白血病薬(抗がん薬)の多剤併用化学療法が主体となり,寛解導入療法,寛解後療法-地固め療法と維持療法,中枢神経浸潤の予防が施行される。 予後因子は,年齢,初診時白血球数,完全寛解までの期間およびPhiladelphia(Ph)染色体ないしt(4;11)である 4, 5)。 2); BCR-ABL1]場合は,イマチニブを代表とするチロシンキナーゼ阻害剤の有効性が明らかになっているので 6),治療の選択には,Ph染色体ないし BCR-ABL1 融合遺伝子を探索することが重要である。 1;q11. 2;q22. 1;q32. eds. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, IARC ; 2008. (テキストブック) 2)Borowitz MJ, et al. Precursor lymphoid neoplasms. Swerdlow SH, et al. eds. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, Lyon, IARC ; 2017 : pp200-13. (テキストブック) 3)Bennett JM, et al. : The morphological classification of acute lymphoblastic leukaemia : Concordance among observers and clinical correlations. Br J Haematol. 1981 ; 47 (4) : 553-61. 4)竹内 仁.急性リンパ性白血病.血液専門医テキスト.日本血液学会編,南江堂,東京,2011. 5)今井 陽俊,竹内 仁.急性リンパ性白血病(Ph染色体陽性急性リンパ性白血病を除く).血液専門医テキスト改訂第2版,日本血液学会編,南江堂,東京,276-84,2016. 6)杉浦 勇.Ph染色体陽性急性リンパ性白血病.血液専門医テキスト改訂第2版,日本血液学会編,南江堂,東京,285-87,2016. アルゴリズム LBLは,WHO分類(2017)ではALLと同じカテゴリーに属し,ALLと同じ治療が推奨される()。 寛解導入治療の選択は,まずPhiladelphia(Ph)染色体の有無で分類し,Ph陽性であればBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブなど)を含む治療が推奨される(, )。 Ph陰性の場合,思春期・若年成人(おおむね30歳まで)であれば小児プロトコールが推奨される(),30〜64歳の一般成人や高齢者(おおむね55〜60歳以上)の場合は,標準治療は確立されておらず,開発段階にある(, )。 マーカーによる選択に関しては,T細胞性ALL(T-ALL)とB細胞性ALL(B-ALL)で異なった治療を行うべきであるとの明確な根拠はない()。 完全寛解(complete remission:CR)に到達すれば,Ph染色体の有無や年齢にかかわらず,化学療法剤による中枢神経系(central nervous system:CNS)再発予防は不可欠であるが,全脳照射の適応は限定的である()。 CR時あるいはその後の経過での微小残存病変(minimal residual disease:MRD)の観察は有意義であるが(),成人ALLにおけるMRDによる層別化治療の成績は明らかではない。 寛解後療法として大量シタラビンや大量メトトレキサート(MTX)は適切な治療選択肢である()。 治療前に縦隔病変の認められるT細胞性LBL(T-LBL)に対する縦隔照射は局所再発予防目的であるが,必ずしも成功しているとは言い難く,縦隔照射を含まない治療も妥当である()。 Ph陽性症例だけではなくPh陰性であっても,HLA一致適合ドナーがいれば,第一CR期の同種造血幹細胞移植は推奨される()。 また,減弱前処置による造血幹細胞移植も試みるに値する。 一方,第一寛解期で造血幹細胞移植を行わない場合は,維持療法が推奨される()。 再発ALLの治療は,前治療歴と再発までの期間を考慮して治療薬剤を選択し,ALLのサブタイプによっては新規薬剤の使用も考慮される()。 CQ1 骨髄浸潤のないLBLの治療はALLと同じ治療が推奨されるか 推奨グレード カテゴリー2B 骨髄浸潤の有無にかかわらず,LBLの治療はALLと同様に行うことが推奨される(縦隔病変を有する場合の対応については,参照)。 解説 LBLは,生物学的にはALLと同一の疾患であり,骨髄浸潤の割合が25%未満の場合にLBLと診断される。 LBLの約80%以上はT細胞性LBL(T-LBL)が占め,若年男性,縦隔病変を有することが多く,骨髄浸潤を認めない(骨髄芽球比率が5%未満)症例の割合は36〜85%と報告されている 1-4)。 一方,少数例の検討であるが,B細胞性LBL(B-LBL)は若年女性,節外病変(特に皮膚病変)を有し,骨髄浸潤を認めない症例が多いことが報告されている 5-7)。 また,ALL治療レジメンの適用により,LBLの治療成績は飛躍的に向上したことが報告されているが 1),ランダム化比較試験によるエビデンスはない。 成人T-LBL 45例を対象としたドイツの多施設共同後方視的研究では,ALLレジメンを施行し,7年全生存割合(OS)および無病生存割合(DFS)はそれぞれ51%,62%であったことを報告した 1)。 これら2報告において,骨髄浸潤の有無は予後因子にはならなかった。 参考文献 1)Hoelzer D, et al. Outcome of adult patients with T-lymphoblastic lymphoma treated according to protocols for acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2002 ; 99 (12) : 4379-85. (3iiiA) 2)Thomas DA, et al. Outcome with the hyper-CVAD regimens in lymphoblastic lymphoma. Blood. 2004 ; 104 (6) : 1624-30. (3iiiA) 3)Hunault M, et al. Outcome of adult T-lymphoblastic lymphoma after acute lymphoblastic leukemia-type treatment : a GOELAMS trial. Haematologica. 2007 ; 92 (12) : 1623-30. (3iiiDiv) 4)Le Gouill S, et al. Leukemia. 2003 ; 17 (11) : 2220-4. (3iiiDiv) 5)Soslow RA, et al. B-lineage lymphoblastic lymphoma is a clinicopathologic entity distinct from other histologically similar aggressive lymphomas with blastic morphology. Cancer. 1999 ; 85 (12) : 2648-54. (3iiiDiv) 6)Lin P, et al. Precursor B-cell lymphoblastic lymphoma : a predominantly extranodal tumor with low propensity for leukemic involvement. Am J Surg Pathol. 2000 ; 24 (11) : 1480-90. (3iiiDiv) 7)Maitra A, et al. Precursor B-cell lymphoblastic lymphoma. A study of nine cases lacking blood and bone marrow involvement and review of the literature. Am J Clin Pathol. 2001 ; 115 (6) : 868-75. (3iiiDiv) CQ2 成人若年者(<65歳)Ph陽性ALLに対する初期治療はBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)併用化学療法が推奨されるか 推奨グレード カテゴリー2A Ph陽性ALLの寛解導入療法・地固め療法において,TKIは化学療法と併用することにより,高率で持続的な完全寛解をもたらし,生存期間の延長が期待できるため,推奨される。 解説 Ph陽性ALLは,化学療法単独では予後不良のALLで,同種造血幹細胞移植療法が唯一治癒を期待出来る治療法であった。 BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(BCR-ABLTKI;以下TKI)が臨床に導入され,治療戦略は変化している。 TKIは,Ph陽性ALL発症の原因となるBCR-ABLキナーゼ活性を阻害して抗白血病効果を発揮する。 TKI単独療法でも完全寛解(CR)は得られるが,CR持続期間は短く,他の治療法との併用が必要となる。 イマチニブと既存のALLに対する多剤併用化学療法との併用療法の有効性と安全性を検討するため,国内外で複数の臨床試験が施行された 1-13)。 寛解導入療法,地固め療法,イマチニブの使用方法が一定ではないため,どの治療法がよいかは判定しがたいが,血液学的完全寛解(complete hematologic response:CHR)率は90%以上,PCRで BCR-ABL1 が検出感度以下となる分子遺伝学的寛解(complete molecular response:CMR)率は19〜52%,第一寛解期での移植施行率は23〜77%で,各試験の長期観察の結果を踏まえ,3年以上の全生存割合は30〜64%と報告されている( 表1) 8-13)。 LALA-94 14)に代表されるTKIを用いない化学療法に比べ,historical controlではあるものの,イマチニブ併用化学療法は,高いCR率と生存割合を示している。 イマチニブ併用化学療法群のCR率92%,移植施行率46%,4年全生存割合38%,標準化学療法群のCR率82%,移植施行率31%,4年全生存割合22%とイマチニブ併用群の有用性が示された。 これらの臨床試験の結果を踏まえ,Ph陽性ALLの初回寛解導入療法では,イマチニブなど,TKI併用化学療法が推奨される。 併用する化学療法の強度が異なること,対象とする年齢層の違いなどはあるが,その有用性に期待が持たれる。 Imatinib combined with induction or consolidation chemotherapy in patients with de novo Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia : results of the GRAAPH-2003 study. Blood. 2007 ; 109 (4) : 1408-13. (3iiiDiv) 2)Wassmann B, et al. Blood. 2006 ; 108 (5) : 1469-77. Concurrent intensive chemotherapy and imatinib before and after stem cell transplantation in newly diagnosed Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Final results of the CSTIBES02 trial. Haematologica. 2010 ; 95 (1) : 87-95. (3iiiDiv) 4)Yanada M, et al ; Japan Adult Leukemia Study Group. J Clin Oncol. 2006 ; 24 (3) : 460-6. (3iiiDiv) 5)Lee KH, et al. Clinical effect of imatinib added to intensive combination chemotherapy for newly diagnosed Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Leukemia. 2005 ; 19 (9) : 1509-16. (3iiiDiv) 6)Thomas DA, et al. Treatment of Philadelphia chromosome-positive acute lymphocytic leukemia with hyper-CVAD and imatinib mesylate. Blood. 2004 ; 10 (12) : 4396-407. (3iiiDiv) 7)Bassan R, et al. J Clin Oncol. 2010 ; 28 (22) : 3644-52. (3iiiA) 8)Yanada M, et al. Prospective monitoring of BCR-ABL1 transcript levels in patients with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukaemia undergoing imatinib-combined chemotherapy. Br J Haematol. 2008 ; 143 (4) : 503-10. Prognostic factors influencing clinical outcome of allogeneic hematopoietic stem cell transplantation following imatinib-based therapy in BCR-ABL-positive ALL. Blood Cancer J. 2012 ; 2 (5) : e72. (3iiiDiv) 10)Lee S, et al. Impact of minimal residual disease kinetics during imatinib-based treatment on transplantation outcome in Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Leukemia. 2012 ; 26 (11) : 2367-74. (3iiiDiv) 11)Tanguy-Schmidt A, et al. Long-term follow-up of the imatinib GRAAPH-2003 study in newly diagnosed patients with de novo Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia : a GRAALL study. Biol Blood Marrow Transplant. 2013 ; 19 (1) : 150-5. (3iiiDiv) 12)Daver N, et al. Final report of a phase II study of imatinib mesylate with hyper-CVAD for the front-line treatment of adult patients with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Haematologica. 2015 ; 100 (5) : 653-61. (3iiA) 13)杉浦 勇.成人Ph陽性ALLの治療.臨床血液.2014;55 (10):1972-80. Outcome of treatment in adults with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia--results of the prospective multicenter LALA-94 trial. Blood. 2002 ; 100 (7) : 2357-66. (3iiiDiv) 15)Fielding AK, et al. Blood. 2014 ; 123 (6) : 843-50. (3iiA) 16)Ravandi F, et al. Blood. 2010 ; 116(12) : 2070-7. (3iiiDiv) 17)Foa R, et al ; GIMEMA Acute Leukemia Working Party. Dasatinib as first-line treatment for adult patients with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2011 ; 118 (25) : 6521-8. (3iiiDiv) 18)Ravandi F, et al. Long-term follow-up of a phase 2 study of chemotherapy plus dasatinib for the initial treatment of patients with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Cancer. 2015 ; 121(23) : 4158-64. 55歳以上のPh陽性ALLを対象とした研究では,寛解導入療法はTKIを投与せず化学療法を行い,地固め療法でimatinib(IMA)を用いている。 完全寛解(CR)率72%,1年全生存割合(OS)66%,1年無病生存割合(DFS)58%であった 2)。 引き続き18歳以上を対象としたGIMEMA LAL1205研究では,寛解導入療法では化学療法を併用せずにステロイド療法および第2世代のTKIであるダサチニブを投与して,CR率100%,20カ月DFS 51%,20カ月OS 69%であった 4)。 高齢者のPh陽性ALLに対してはTKIとステロイド療法により早期治療関連死亡がなく安全にCRが得られることが期待されるが,治療抵抗性の遺伝子を獲得する可能性があることから,さらに検討が必要と考えられる。 Cancer. 2007 ; 109 (10) : 2068-76. (1iiDiv) 2)Delannoy A, et al : Imatinib and methylprednisolone alternated with chemotherapy improve the outcome of elderly patients with Philadelphia-positive acute lymphoblastic leukemia : results of the GRAALL AFR09 study. Leukemia. 2006 ; 20 (9) : 1526-32. (3iiiA) 3)Vignetti M, et al : Imatinib plus steroids induces complete remissions and prolonged survival in elderly Philadelphia chromosome-positive patients with acute lymphoblastic leukemia without additional chemotherapy : results of the GIMEMA LAL0201-B protocol. Blood. 2007 ; 109 (9) : 3676-78. Blood. 2011 ; 118 (25) : 6521-28. (3iiiDiv) CQ4 思春期・若年成人ALLは小児プロトコールでの治療が推奨されるか 推奨グレード カテゴリー2A 思春期・若年成人ALLは,小児プロトコールによる治療が勧められる。 その理由として,ステロイド,ビンクリスチン(VCR),L-アスパラギナーゼ(L-Asp)などの薬剤量が多いことと中枢神経系白血病予防が頻回であることが指摘された 1)。 同様の後方視的解析は,フランス,オランダ,イギリス,スウェーデンなどでも行われ,同様に小児プロトコールで治療された患者群が良好な生存割合を示した。 小児プロトコール治療と成人プロトコール治療を比較した前方視的研究はないが,PETHEMA ALL96研究では,小児標準リスクALL用のプロトコール治療を標準リスクの思春期(15〜18歳,n=35)および若年成人(19〜30歳,n=46)ALLに行った。 CR率98%,6年EFS 61%,6年OS 68%と良好で,思春期と若年成人間に差はなかった 2)。 Japan Adult Leukemia Study Group(JALSG)ALL202-U研究では,15〜24歳までのBCR-ABL陰性ALLを対象に小児ハイリスクALL用のプロトコールによる治療を行った 3)。 完全寛解率,5年無病生存割合,5年全生存割合はそれぞれ94%,67%,73%で,いずれもヒストリカルコントロールより良好な成績であった 3)。 GRAALL-2003研究およびPrincess Margaret Hospitalによる研究では,小児プロトコールのコンセプトをもとに考案したpediatric-inspired protocol,または小児プロトコールを減量したプロトコールを60歳までの成人に適用した。 完全寛解率は93. 5%,89%,全生存割合は61%(3. 5年),63%(5年)と良好であった 4, 5)。 一方,寛解導入中の死亡率は,前者では45歳以上の症例で13%(45歳未満は4%) 4),後者では50歳以上で20%と高く 5),45〜50歳以上の症例に小児型プロトコールを使用することの危険性も示していた。 以上から少なくとも16〜30歳の症例には小児型プロトコールでの治療が推奨でき,31〜45歳の症例にも小児型プロトコールにより治療成績が改善する可能性がある。 小児型プロトコールにもさまざまな治療強度があり,45歳以下は一律に減量小児プロトコールによる治療で良いのか,より若年の症例はより治療強度の強い小児プロトコールによる治療を行うべきなのかは今後の検討課題である。 また,小児のALLにおいて重要な予後因子とされているプレドニゾロンprephaseに対する反応性(PSL reponse)の成人ALLにおける予後因子としての重要性に関してはこれまでほとんど検討されていない。 001)。 PSL response良好例の8年CR持続割合(CCR)は不良例より優っていた(36% vs 24%,p=0. 0004) 6)。 PSL responseが予後因子となることを示しているが,成人型の治療が行われており,小児型の治療を行った時にもPSL responseが予後不良因子となるかは明らかでない。 上述のJALSG ALL202-U研究ではPSL response良好例と不良例との間に無病生存割合の明らかな差を認めなかった(p=0. 2226) 3)。 参考文献 1)Stock W, et al. What determines the outcomes for adolescents and young adults with acute lymphoblastic leukemia treated on cooperative group protocols? Blood. 2008 ; 112 (5) : 1646-54. (3iiiA) 2)Ribera JM, et al. J Clin Oncol. 2008 ; 26 (11) : 1843-9. (3iiiA) 3)Hayakawa F, et al ; Japan Adult Leukemia Study Group(JALSG). Markedly improved outcomes and acceptable toxicity in adolescents and young adults with acute lymphoblastic leukemia following treatment with a pediatric protocol : a phase II study by the Japan Adult Leukemia Study Group. Blood Cancer J. 2014 ; 4 : e252. (3iiDii) 4)Huguet F, et al : Pediatric-inspired therapy in adults with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia : the GRAALL-2003 study. J Clin Oncol. 2009 ; 27 (6) : 911-8. Treatment of adults with BCR-ABL negative acute lymphoblastic leukaemia with a modified paediatric regimen. Br J Haematol. 2009 ; 146 (1) : 76-85. (3iiA) 6)Annino L, et al. Treatment of adult acute lymphoblastic leukemia(ALL) : long-term follow-up of the GIMEMA ALL 0288 randomized study. Blood. 2002 ; 99 (3) : 863-71. (1iiDii) CQ5 成人(30〜64歳)Ph陰性ALLの治療は何が推奨されるか 推奨グレード カテゴリー2B Ph陰性ALLに対する標準的な多剤併用化学療法は開発段階である。 解説 30歳以上のPh陰性ALLに対する化学療法の成績だけをまとめた論文は見当たらないが,2000年以降に発表された200例以上の成人ALLの治療成績を 表1に示す。 完全寛解(CR)率は74〜92%,全例の生存割合は27〜54%である。 生存割合に関しては,予後因子を考慮した造血幹細胞移植(stem cell transplantation:SCT)が何らかの形で含まれており,化学療法と移植をパッケージとした治療法の成績と理解すべきである。 上記の成績のうち,Ph陰性例あるいは年齢をサブグループとして抽出した結果を以下に示す。 Japan Adult Leukemia Study Group(JALSG)ALL93におけるPh陰性例のCR率,生存割合はそれぞれ83%,39%で,30歳以上の症例では,72%,21%であった 1)。 hyper-CVAD療法(CPA, VCR, DXR, DEX)でのPh陽性,バードキットタイプ以外の症例では,それぞれ91%,41%であり,40〜59歳では,80%,30%であった 2)。 Southwestern Oncology Group(SWOG)9400における30〜49歳,50〜65歳のCR率,生存割合はそれぞれ80%,32%と63%,23%であった 4)。 JALSG ALL97では,Ph陰性群をサブグループとして解析し,CR率81%,生存割合39%であった。 Ph陰性群の年齢別の成績は,35〜54歳,55〜64歳でそれぞれ80%,38%と78%,26%であった 5)。 JALSG ALL202-Oでは,25〜64歳までのPh陰性ALLを対象として,寛解後療法に大量AraC,大量MTXの両者を用いる群では,完全寛解率,5年無病生存割合はそれぞれ86%,58%であった 6)。 2009年に小児プロトコールに似た治療法を60歳までの成人Ph染色体陰性ALLに行った成績が2編発表され,CR率は89%以上で長期生存割合も50%を超えている 7, 8)。 しかし,35歳ないし45歳以上の症例での成績は若年者に比して劣っている。 その後に小児に似た治療法について忍容性を検証した臨床試験の報告 9, 10)があるが,何歳まで小児型プロトコールが有用か,有害事象を考慮して今後のさらなる検証が必要である。 以上から,Ph陰性群の生存割合は全症例を含む生存割合よりやや良好で,30歳以上の症例の生存割合は全体よりやや不良であることは示されたが,異なるプロトコールをランダム化して比較した試験はなく,プロトコール間の優劣は不明である。 参考文献 1)Takeuchi J et al. Induction therapy by frequent administration of doxorubicin with four other drugs, followed by intensive consolidation and maintenance therapy for adult acute lymphoblastic leukemia : the JALSG-ALL93 study. Leukemia. 2002 ; 16 (7) : 1259-66. (3iiA) 2)Kantarjian H et al. Long-term follow-up results of hyperfractionated cyclophosphamide, vincristine, doxorubicin, and dexamethasone (Hyper-CVAD), a dose-intensive regimen, in adult acute lymphoblastic leukemia. Cancer. 2004 ; 101 (12) : 2788-801. Blood. 2005 : 106 (12) : 3760-7. (3iiA) 4)Pullarkat V et al. Impact of cytogenetis on the outcome of adult acute lymphoblastic leukemia : results of Southwest Oncology Group 6400 study. Blood. 2008 ; 111 (5) : 2563-72. (3iDii) 5)Jinnai I et al. Intensified consolidation therapy with dose-escalated doxorubicin did not improve the prognosis of adults with acute lymphoblastic leukemia : the JALSG-ALL97 study. Int J Hematol. 2010 ; 92 (3) : 490-502. (3iDii) 6)Sakura T et al. High-dose methotrexate therapy significantly improved survival of adult acute lymphoblastic leukemia : a phase III study by JALSG. Leukemia. 2018 ; 32 (3) : 626-32. (1iDii) 7)Huguet F, et al. Pediatric-inspired therapy in adults with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia : the GRAALL-2003 study. J Clin Oncol. 2009 ; 27(6) : 911-8. Treatment of adults with BCR-ABL negative acute lymphoblastic leukaemia with a modified paediatric regimen. Br J Haematol. 2009 ; 146 (1) : 76-85. Intensified chemotherapy inspired by a pediatric regimen combined with allogeneic transplantation in adult patients with acute lymphoblastic leukemia up to the age of 40. Leukemia. 2011 ; 25 (11) : 1697-703. (3iiiDiv) 10)DeAngelo DJ, et al. Long-term outcome of a pediatric-inspired regimen used for adults aged 18-50 years with newly diagnosed acute lymphoblastic leukemia. Leukemia. 2015 ; 29 (3) : 526-34. (Ph陽性の場合の対応については,参照) 解説 65歳以上の高齢者かつPh陰性ALLを対象とした前方視的試験は限られており 1, 2),標準治療は開発段階である。 また,65歳を超えると骨髄非破壊的前処置を用いた同種造血幹細胞移植療法の適応も極めて限られている 3)。 65歳以上の高齢者は,若年者に比べ複数の既往歴および合併症を有している割合が高く,化学療法に必要な臓器機能が保たれていない場合も少なくない 4)。 ドイツのGMALLグループは,65歳以上の高齢者の84%においてCharlsonスコアによる合併症を有することを報告し,その内訳は糖尿病(46%),血管疾患(18%),心不全(15%),慢性肺疾患(12%)であった 2)。 したがって,この年齢層において一律に治療強度の高い化学療法を行うのは困難であり,comprehensive geriatric assessment(CGA)ツールを用いてfit,unfit,frailに分類し,適切な治療強度の化学療法を選択することが提唱されている 2)。 比較的若年者と同様に,治癒を目指した治療強度が可能と判断されたfit患者においては,多剤併用化学療法を選択し,寛解導入療法,地固め療法および維持療法をdose-intensityを保ちながら実施することが重要である 5)。 一方,unfitおよびfrailと判断された場合には,化学療法による治療関連死亡の割合が相対的に高く,薬剤の減量や化学療法の延期を要する割合が高いことに留意する。 65歳以上の高齢者を対象とした,よくデザインされた多施設共同前方視的試験の実施が求められている。 参考文献 1)Sancho JM, et al. Results of the PETHEMA ALL-96 trial in elderly patients with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia. Eur J Haematol. 2007 ; 78 (2) : 102-10. (3iiiDiv) 2)Hunault-Berger M, et al. A randomized study of pegylated liposomal doxorubicin versus continuous-infusion doxorubicin in elderly patients with acute lymphoblastic leukemia : the GRAALL-SA1 study. Haematologica. 2011 ; 96 (2) : 245-52. (3iiiDiv) 3)Brunner AM, et al, Outcomes in patients age 70 or older undergoing allogeneic hematopoietic stem cell transplantation for hematologic malignancies. Biol Blood Marrow Transplant. 2013 ; 19 (9) : 1374-80. How I treat older patients with ALL. Blood. 2013 ; 122 (8) : 1366-75. (レビュー) 5)Huguet F, et al, Pediatric-inspired therapy in adults with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia : the GRAALL-2003 study. J Clin Oncol. 2009 ; 27 (6) : 911-8. 解説 T細胞性ALL(T-ALL)は全ALLの20%前後にすぎず,過去の臨床試験ではB細胞性ALL(B-ALL)とT細胞性ALLの両者を含めて同じ化学療法が行われてきた(ただし,高リスク群を定義する際の初診時白血球数についてはT-ALLでより高い閾値を採用しているものが多い)。 近年の大規模臨床試験の結果をみるとT-ALLの治療成績がB-ALLよりも若干優れているというものが多いが,その結果は一様ではない。 各研究間で化学療法の内容も大きく異なる。 T-ALLの5年OSは48%で,それ以外のALL(T-CALLA-precursor B-cell ALL,NULL ALLを含む)の5年OS 36%を有意に上回った。 5%,B-ALLで35. 9%とT-ALLが優れているものの有意差には至っていない 3)。 一方,2002年に発表されたGIMEMA ALL 0288試験では完全寛解到達患者の8年後寛解維持率はB-ALLで34%,T-ALLで27%とB-ALLが有意に優れるという結果であった 4)。 GRAALL-2003小児型プロトコールによるT-ALLとB-ALLの治療成績を比較すると,T-ALLの完全寛解率99%でB-ALLの91%よりも良好であった(p=0. 02)。 また,42カ月の無イベント生存割合はT-ALLで62%,B-ALLで52%であった(p=0. 09) 5)。 このプロトコールには大量MTX療法が含まれている。 これらの結果を総合的に考えると,大量MTXの採用はT-ALLにおいて魅力的な選択肢ではあるが,必ずしもそれを含む試験においてT-ALLの治療成績が優れているとは言えない。 今後,ネララビン(AraG)などの薬剤を早期から導入することによってT-ALLの治療成績が向上する可能性があるが,現時点では臨床データは乏しい。 参考文献 1)Marks DI, et al. Blood. 2009 ; 114 (25) : 5136-45. (3iiA) 2)Kantarjian H, et al. Long-term follow-up results of hyperfractionated cyclophosphamide, vincristine, doxorubicin, and dexamethasone (Hyper-CVAD), a dose-intensive regimen, in adult acute lymphocytic leukemia. Cancer. 2004 ; 101 (12) : 2788-801. (3iiA) 3)Takeuchi J, et al. Induction therapy by frequent administration of doxorubicin with four other drugs, followed by intensive consolidation and maintenance therapy for adult acute lymphoblastic leukemia : the JALSG-ALL93 study. Leukemia. 2002 ; 16 (7) : 1259-66. (3iiA) 4)Annino L, et al. Treatment of adult acute lymphoblastic leukemia (ALL) : long-term follow-up of the GIMEMA ALL 0288 randomized study. Blood. 2002 ; 99 (3) : 863-71. Pediatric-inspired therapy in adults with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia : the GRAALL-2003 study. J Clin Oncol. 2009 ; 27 (6) : 911-8. 全脳照射はルーチンに施行すべきではなく,中枢神経再発ハイリスク例においては選択肢の一つである。 解説 中枢神経系(central nervous system:CNS)再発への対策はALL治療成績の向上に不可欠である。 対策として,抗がん剤の髄腔内投与(intrathecal:IT),大量メトトレキサート(MTX)や大量シタラビン(AraC)の全身化学療法(髄腔内濃度を上げることができるため)および全脳照射の選択肢がある 1-5)。 これらの組み合わせおよび治療強度は,CNS再発リスクに応じて対策を講じるのが望ましい。 小児ALLに比較すると,成人ALLにおけるエビデンスは極めて限られていて,標準的対策法は確立されていない。 成人ALL治療におけるCNS再発予防法の確立のためには,以下の3点が特に重要と考えられる。 MTX単独投与に比較して,triple ITがCNS単独再発リスクを有意に低下(p=0. 004)させるが,骨髄再発はtriple ITで有意に多かった(p=0. 01) 6)。 全脳照射を施行しなかった場合,5年間の累積CNS単独再発は2. 7%(95%CI:1. 1-4. 3)であり,診断時CNS病変を除く,CNS再発リスク因子はt(1;19),T細胞性であった 7)。 CNS再発リスク因子は報告によって異なるが,一般にT細胞性,初診時WBC高値,予後不良染色体異常および寛解導入不応などがあり,予防的全脳照射の対象としているプロトコールが多い 8)。 全脳照射による晩期毒性として,白質脳症,認知機能低下,内分泌異常および髄膜腫などの二次性腫瘍などがあり,選択には注意が必要である 9, 10)。 参考文献 1)Larson RA, et al. A randomized controlled trial of filgrastim during remission induction and consolidation chemotherapy for adults with acute lymphoblastic leukemia : CALGB study 9111. Blood. 1998 ; 92 (5) : 1556-64. (3iDiv) 2)Stock W, et al. What determines the outcomes for adolescents and young adults with acute lymphoblastic leukemia treated on cooperative group protocols? Blood. 2008 ; 112 (5) : 1646-54. (3iiiA) 3)Kantarjian HM, et al. Results of treatment with hyper-CVAD, a dose-intensive regimen, in adult acute lymphocytic leukemia. J Clin Oncol. 2000 ; 18 (3) : 547-61. (3iDiv) 4)Huguet F, et al. Pediatric-inspired therapy in adults with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia : the GRAALL-2003 study. J Clin Oncol. 2009 ; 27 (6) : 911-8. (3iiA) 5)Takeuchi J, et al. Induction therapy by frequent administration of doxorubicin with four other drugs, followed by intensive consolidation and maintenance therapy for adult acute lymphoblastic leukemia : the JALSG-ALL93 study. Leukemia. 2002 ; 16 (7) : 1259-66. (3iiA) 6)Matloub Y, et al. Blood. 2006 ; 108 (4) : 1165-73. (1iiDiv) 7)Pui CH, et al. Treating childhood acute lymphoblastic leukemia without cranial irradiation. N Engl J Med. 2009 ; 360 (26) : 2730-41. (2Div) 8)Pui CH, et al. Current management and challenges of malignant disease in the CNS in paediatric leukaemia. Lancet Oncol. 2008 ; 9 (3) : 257-68. (3iiiD) 9)Filley CM, et al. Toxic leukoencephalopathy. N Engl J Med. 2001 ; 345 (6) : 425-32. (3iiiDiv) 10)Hijiya N, et al. Cumulative incidence of secondary neoplasms as a first event after childhood acute lymphoblastic leukemia. JAMA. 2007 ; 297 (11) : 1207-15. (3iiiDiv) CQ9 寛解期成人ALLの治療における微小残存病変の評価の意義はあるか 推奨グレード カテゴリー2A 寛解療法後に微小残存病変があれば(0. 1%ないし0. 01%以上),再発の危険性が高まるため,測定の意義はある。 ただし,寛解療法後のどの時点で微小残存病変を測定すべきかのコンセンサスは確立されていない。 解説 微小残存病変(minimal residual disease:MRD)をみるためには,ALLの初診時に免疫グロブリン(Ig)ないしT細胞受容体(TCR)遺伝子再構成を見出し,この再構成のアリル特異的プライマーを作成しておく必要がある。 治療後の検体中に同じ配列があるかどうかをPCR(polymerase chain reaction)法で同定する。 また,BCR-ABLなどのキメラ遺伝子や異常な表面マーカー(aberrant marker)を初診時に検査し,これらの異常をMRD測定に用いることができるが,キメラ遺伝子検査の保険適用は一部の病院に限られている。 Ph陰性ALL 116例を対象として,aberrant markerをMRDの指標とした後方視的研究では,寛解導入終了時のMRDは独立した再発の予後因子であったが(p<0. 0001),地固め後のMRDは予後と有意な関連はなかった 1)。 一方,T細胞系以外のPh陰性ALL 161例を対象とした後方視的研究では,治療開始1年以内のどの時点でもMRDが陽性であれば有意に再発までの期間が短かった 2)。 未治療のB細胞性ALLおよびT細胞性ALL 142例を対象とした前方視的研究が行われた 3)。 治療開始後16週で0. 001)。 また,196例の標準リスクALLを対象とした前方視的研究では,寛解導入療法中(day11)および寛解導入療法終了時(day24)にMRD陰性であれば3年再発率0%に対し,治療開始後16週までMRD陽性であれば3年再発率96%と報告されている 4)。 日本でも成人ALL 27例を対象に,寛解導入療法後100日にMRDを測定した前方視的研究がある 5)。 4%で,陽性群の45. 0%に比して有意に高かった。 また,小児型プロトコールで治療された成人においても,15-59歳ALL995例を対象(MRD解析可能であったのは423例)とした研究で,寛解導入療法後MRD陽性(0. 01%以上)と再発の相関はB細胞性ALLで3. 21(p<0. 001),T細胞性ALLで2. 50(p=0. 036)であった 6)。 参考文献 1)Holowiecki J, et al. Status of minimal residual disease after induction predicts outcome in both standard and high-risk Ph-negative adult acute lymphoblastic leukemia. The Polish Adult Leukemia Group ALL 4-2002 MRD study. Br J Haematol. 2008 ; 142 (2) : 227-37. (3iiDii) 2)Patel B, et al. Br J Haematol. 2009 ; 148 (1) : 80-9. (3iiDii) 3)Bassan R, et al. Improved risk classification for risk-specific therapy based on the molecular study of minimal residual disease (MRD) in adult acute lymphoblastic leukemia (ALL) Blood. 2009 ; 113 (18) : 4153-62. Clinical significance of minimal residual disease quantification in adult patients with standard-risk acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2006 ; 107 (3) : 1116-23. (3iiDii) 5)Kikuchi M, et al. Clinical significance of minimal residual disease in adult acute lymphoblastic leukemia. Int J Hematol. 2010 ; 92 (3) : 481-9. (3iiDii) 6)Beldjord K, et al. Oncogenetics and minimal residual disease are independent outcome predictors in adult patients with acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2014 ; 123 (24) : 3739-49. 再発・難治例に対する救援化学療法としても用いられる。 解説 大量メトトレキサート(MTX)療法は小児では1980年代にはその有用性がランダム割付試験で示されている。 治療法が進歩し治療が強化された近年においても,capizzi方式のMTX療法に対しランダム割付試験で優位性を示すなど小児ALLにおける有用性は確立されている 1)。 最近,成人ALLに対して大量AraC療法,大量MTX療法,もしくはその両者を寛解後療法として用いた治療プロトコールの報告が増えており,成人ALLの予後改善に寄与している可能性がある。 これらの治療では中枢神経系再発予防効果も期待される。 このように成人でも比較的広範に行われる治療でありながら,成人ALLにおいて大量AraC療法,大量MTX療法それぞれの意義を検証したランダム化比較試験は長らく報告がなかった。 成人ALLにおいても小児同様大量MTX療法を行うべきである。 一方,大量AraC療法は治療の選択肢として妥当なものではあるが,大量MTX療法との併用においてはその有効性は明らかでない。 参考文献 1)Larsen EC, et al. J Clin Oncol. 2016 ; 34 (20) : 2380-8. (1iiDi) 2)Millot F, et al. Value of high-dose cytarabine during interval therapy of a Berlin-Frankfurt-Munster-based protocol in increased-risk children with acute lymphoblastic leukemia and lymphoblastic lymphoma: results of the European Organization for Research and Treatment of Cancer 58881 randomized phase III trial. J Clin Oncol. 2001 ; 19 (7) : 1935-42. (1iiDii) 3)Kantarjian HM, et al. Results of treatment with hyper-CVAD, a dose-intensive regimen, in adult acute lymphocytic leukemia. J Clin Oncol. 2000 ; 18 (3) : 547-61. (3iDiv) 4)Stock W, et al. Dose intensification of daunorubicin and cytarabine during treatment of adult acute lymphoblastic leukemia. Cancer. 2013 ; 119 (1) : 90-8. (2Dii) 5)Lazarus HM, et al. Blood. 2006 ; 108 (2) : 465-72. (2Di) 6)Sakura T et al. High-dose methotrexate therapy significantly improved survival of adult acute lymphoblastic leukemia : a phase III study by JALSG. Leukemia. 2018 ; 32 (3) : 626-32. (1iDii) CQ11 縦隔病変を有するT細胞性LBLに対して縦隔照射は行うべきか 推奨グレード カテゴリー2B 縦隔病変を有する成人T細胞性LBLに対して,局所再発予防を目的とした縦隔照射が用いられることが多いが,ALLに対する縦隔照射を含まない治療プロトコールを用いることも妥当である。 解説 T細胞性LBL(T-LBL)では診断時に縦隔腫瘤を有する例が多く,これが長径10cmを超える巨大病変であることも少なくない。 縦隔腫瘤を有するT-LBLでは,全例,あるいは巨大病変を有する場合や化学療法後に残存腫瘤が認められた場合に限定して局所再発予防を目的とした縦隔照射が行われることが多い。 しかし,これによる二次発癌や心血管系合併症などの晩期障害の増加が懸念されている。 小児LBLでは,ALLに対する強力な化学療法を行うことにより,縦隔照射を含むプロトコールと比較して遜色ない治療成績が報告されている 1)。 縦隔病変を有する成人LBLでの縦隔照射の意義は,今のところ未解決の課題である。 成人LBLでは後方視的研究においてhyper-CVAD療法(CPA, VCR, DXR, DEX)を中心とする化学療法を受けた患者で,縦隔照射例が非照射例に比べて局所再発率が低いことが示された 2)。 ドイツのBerlin-Frankfurt-Munster(BFM)レジメンでも,縦隔病変を有するT-LBLで寛解導入療法の後半に縦隔照射(24Gy)を行うことが規定された。 しかし再発例の半数で縦隔再発がみられ,これらのほとんとで縦隔照射の既往があったため,論文では,より高用量の縦隔照射が必要だろうと結論している 4)。 しかし,これらの2つのプロトコールは縦隔照射の有無をランダム化して検討したものではない。 対象疾患を成人LBLに限定した,縦隔照射を行わないプロトコールを用いた治療研究では目立った報告がないが,米国のCALGB 8811の報告では,対象患者の15%(30例)が縦隔病変を有しており,縦隔照射を行わないプロトコールであったにもかかわらず,T-ALL患者だけで解析しても,縦隔病変を有することは予後良好因子であった 5)。 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫など他のリンパ腫の病型と同様に,縦隔照射の適応を,寛解導入化学療法後の残存腫瘤やpositron emission tomography(PET)陽性残存病変などに限定するという方針を支持する臨床研究の報告はない。 参考文献 1)Reiter A, et al. Intensive ALL-type therapy without local radiotherapy provides a 90% event-free survival for children with T-cell lymphoblastic lymphoma : a BFM group report. Blood. 2000 ; 95 (2) : 416-21. (3iiiDi) 2)Dabaja BS, et al. The role of local radiation therapy for mediastinal disease in adults with T-cell lymphoblastic lymphoma. Cancer. 2002 ; 94 (10) : 2738-44. (3iiiDii) 3)Thomas DA, et al. Outcome with the hyper-CVAD regimens in lymphoblastic lymphoma. Blood 2004 ; 104 (6) : 1624-30(3iiiA) 4)Hoelzer D, et al. Outcome of adult patients with T-lymphoblastic lymphoma treated according to protocols for acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2002 ; 99 (12) : 4379-85. (3iiiA) 5)Larson RA, et al. A five-drug remission induction regimen with intensive consolidation for adults with acute lymphoblastic leukemia : cancer and leukemia group B study 8811. Blood. 1995 ; 85 (8) : 2025-37. (3iDiv) CQ12 第一寛解期の同種造血幹細胞移植は推奨されるか(Ph陽性,Ph陰性を含む),また減弱前処置による同種造血幹細胞移植は有用か 推奨グレード カテゴリー2A 第一寛解期の成人ALLに対して,HLA適合血縁,非血縁ドナーがいれば同種造血幹細胞移植が選択される。 推奨グレード カテゴリー2B 通常の強度の移植前処置を行うことができない高齢者,あるいは臓器障害を有する第一寛解期ALL患者に対しては,減弱前処置による同種造血幹細胞移植を考慮する。 解説 第一寛解期ALLに対する造血幹細胞移植の適応はgenetic randomization,すなわち第一寛解が得られた患者をHLA適合同胞ドナーがいる場合には同種移植群に割り付け,ドナーがいない場合には自家骨髄移植群あるいは化学療法群に割り付けるという前方視的比較試験で検証されてきた。 この場合,実際に割り付けられた治療が行われていない[症例を実際に行われた治療で群別して解析するとバイアスを生じるので,割り付けられた群(ドナーあり群 vs ドナーなし群)に従って解析される(intent-to-treat analysis)]。 当初の研究は予後不良因子を有する群においてのみドナーあり群の生存期間が延長するという報告が多かったが,その後,逆の結果を示す大規模臨床研究も報告されている。 これらの臨床試験を統合したメタアナリシスの結果では,第一寛解期ALL全体でのドナーあり群の死亡の相対危険度は0. 88(95%CI:0. 8-0. 97,p=0. 007)と有意に低く,サブグループ解析では標準リスク群で0. 8(95%CI:0. 68-0. 94,p=0. 006),高リスク群で0. 88(95%CI:0. 76-1. 01,p=0. 07)と標準リスク群のみで有意差が観察された 1)。 高年齢が高リスク群の定義に含まれている試験が多いが,年齢という因子は同種移植で改善するということは考えにくく,年齢を移植適応の判断時のリスク分類に用いるべきではないということが指摘されている。 JALSG ALL-93およびALL-97の化学療法のデータと日本造血細胞移植学会の移植データを用いて行われた臨床決断分析では,HLA適合同胞がいる場合には第一寛解期に同種移植を行う決断をすることの優位性が示された 2)。 QOL補正を行った比較でも,年齢によって群別化したすべてのサブグループにおいても移植群の優位性は変わらなかった。 HLA A,B,DRB1適合の非血縁ドナーからの移植データを用いた解析でもほぼ同様の結果が得られた。 適合度のよい非血縁者間移植の治療成績はHLA適合同胞からの治療成績とほぼ同等であることが報告されている 3)。 しかし,小児科型の化学療法の採用などによる化学療法の治療成績の改善によって,第一寛解期における移植適応は見直される可能性がある 4, 5)。 また,HLA不適合移植や臍帯血移植の適応を判断するための明確なデータはない。 将来的には微小残存病変をモニターすることによって,同種造血幹細胞移植を必要とする患者をより正確に判別できるようになる可能性もある。 Ph陽性ALLについてはチロシンキナーゼ阻害剤の導入によって化学療法の成績が著しく改善しているが,その効果が長期間維持されるかどうかは不明である。 現時点ではチロシンキナーゼ阻害剤導入以前の臨床試験の成績を参考にして 6),第一寛解期での同種移植の実施が推奨される。 高齢者ALLに対する化学療法の成績は不良である。 一方,高齢者に対して通常の強度の前処置(myeloablative conditioning:MAC)による同種造血幹細胞移植の実施は難しい。 そこで,強度を減弱した移植前処置(reduced-intensity conditioning:RIC)を用いるミニ移植が試みられている。 しかし,現時点ではミニ移植と化学療法,あるいはミニ移植と通常の移植の前方視的比較試験の結果は得られていない。 MACとRICの比較についてはEuropean Group for Blood and Marrow Transplantation(EBMT)とCenter for International Blood and Marrow Transplant Research(CIBMTR)からそれぞれ大規模な後方視的研究が報告されている。 前者は45歳以上の第一,第二寛解期患者を対象として127例のRIC症例と449例のMAC症例を比較したところ,RIC群(年齢中央値56歳,範囲45〜73歳)で再発が有意に増加するものの移植関連死亡(TRM)は有意に減少し,無白血病生存割合には差がみられなかった 7)。 後者も第一,第二寛解期患者を対象とした93例のRIC症例(年齢中央値45歳,範囲17〜66歳)と1,428例のMAC症例の比較であるが,こちらは16歳以上の患者を含んでいる 8)。 多変量解析の結果,前処置の強度の違いは再発率,非再発死亡率,生存割合に有意差を与えなかった。 個別の前処置に関してはフルダラビン(FLU)とメルファラン(MEL)の組み合わせによる前処置で良好な成績が得られている 9, 10)。 日本造血細胞移植学会の移植データを用いて同種造血幹細胞移植を受けた45歳以上の第一,第二寛解期ALL患者を対象として後方視的に解析が行われ,全生存割合,無病生存割合および無再発死亡割合は,移植前処置の強度による有意な影響は示されなかった 11)。 化学療法との優劣は不明であるが,高齢者ALLに対する通常の化学療法の治療成績は不良であるため,高齢者第一寛解期ALLに対するミニ移植の有用性を評価する前方視的比較試験の実施が期待される。 参考文献 1)Ram R, et al. Management of adult patients with acute lymphoblastic leukemia in first complete remission : systematic review and meta-analysis. Cancer. 2010 ; 116 (14) : 3447-57. (1iiA) 2)Kako S, et al. A decision analysis of allogeneic hematopoietic stem cell transplantation in adult patients with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia in first remission who have an HLA-matched sibling donor. Leukemia. 2011 ; 25 (2) : 259-65. (3iiA) 3)Kanda J, et al. Blood. 2012 ; 119 (10) : 2409-16. (3iiA) 4)Hayakawa F, et al ; Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG). Markedly improved outcomes and acceptable toxicity in adolescents and young adults with acute lymphoblastic leukemia following treatment with a pediatric protocol : a phase II study by the Japan Adult Leukemia Study Group. Blood Cancer J. 2014 Oct 17 ; 4 : e252. Role of allogeneic stem cell transplantation in adult patients with Ph-negative acute lymphoblastic leukemia. Blood. 2015 ; 125 (16) : 2486-96. (3iDi) 6)Fielding AK, et al. Blood. 2009 ; 113 (19) : 4489-96. (1iiA) 7)Mohty M, et al. Reduced-intensity versus conventional myeloablative conditioning allogeneic stem cell transplantation for patients with acute lymphoblastic leukemia : a retrospective study from the European Group for Blood and Marrow Transplantation. Blood. 2010 ; 116 (22) : 4439-43. (3iiA) 8)Marks DI, et al. The outcome of full-intensity and reduced-intensity conditioning matched sibling or unrelated donor transplantation in adults with Philadelphia chromosome-negative acute lymphoblastic leukemia in first and second complete remission. Blood. 2010 ; 116 (3) : 366-74. (3iiA) 9)Stein AS, et al. Reduced-intensity conditioning followed by peripheral blood stem cell transplantation for adult patients with high-risk acute lymphoblastic leukemia. Biol Blood Marrow Transplant. 2009 ; 15 (11) : 1407-14. (3iiA) 10)Cho BS, et al. Reduced-intensity conditioning allogeneic stem cell transplantation is a potential therapeutic approach for adults with high-risk acute lymphoblastic leukemia in remission : results of a prospective phase 2 study. Leukemia. 2009 ; 23 (10) : 1763-70. (3iiA) 11)Tanaka J, et al. Reduced-intensity vs myeloablative conditioning allogeneic hematopoietic SCT for patients aged over 45 years with ALL in remission : a study from the Adult ALL Working Group of the Japan Society for Hematopoietic Cell Transplantation (JSHCT). Bone Marrow Transplant. 2013 ; 48 (11) : 1389-94. (3iiA) CQ13 第一寛解期で造血幹細胞移植を行わない場合,維持療法は推奨されるか(Ph陽性,Ph陰性を含む) 推奨グレード カテゴリー1 (Ph陰性) カテゴリー2A (Ph陽性) 第一寛解期で造血幹細胞移植を行わない場合,維持療法は推奨される。 Ph陽性症例ではTKIを長期に使用することが推奨される。 解説 1960年代に小児ALLで維持療法の中止と継続でランダム化比較試験が行われ,維持療法の有用性が示されている 1)。 当時の治療は寛解後療法が極めて不十分で(寛解導入療法の後はすぐ維持療法),これのみで現在の標準治療における維持療法の必要性を判断することは難しい。 しかし,その後も日本の小児ALLにおいて,維持療法における6-メルカプトプリンとメトトレキサートの投与方法に関して,中等量間歇投与群と少量持続内服群をランダム割り付けして比較した研究で,前者の方が5年寛解持続率が良好であることが示される(72. 1% vs 49. 7%,p<0. 05)など 2),維持療法の必要性は複数の研究で確認されている。 成人ALLにおいても,Cancer and Leukemia Group B(CALGB)の研究で維持療法を行わないプロトコールを用いたところ,中間解析で過去のCALGBの研究(1年以上の維持療法を行う)に比較して明らかに寛解持続期間が短く,研究が早期終了となったことは維持療法の必要性を示している 3)。 また,UK Medical CouncilとEastern Cooperative Oncology Groupの共同研究においても,1929例のALL患者を寛解が得られたのちに,HLA一致血縁ドナーを持つものは同種移植群,ドナーを持たないものを,自家移植群(維持療法なし)と化学療法群(地固め療法,維持療法を行う)にランダム割り付けし(両群ともにメトトレキサート大量療法を含む強化療法は行う)比較したところ,自家移植群で有意に5年全生存割合が不良であった(46% vs 37%,p=0. 03) 4)。 この研究もやはり維持療法の必要性を示している。 これらの研究より,Ph陰性ALLの場合,第一寛解期で造血幹細胞移植を行わない場合,維持療法は必要であると考えられる。 Ph陽性症例に対してはイマチニブの登場以降,これを併用した化学療法による研究が多く行われ,従来の治療に比較し,完全寛解率,第一寛解期同種移植の施行率,全生存割合いずれも著しく改善した。 しかし同種移植が行われなかった場合,その生存割合は各研究によって大きく異なる。 イマチニブ併用維持療法を行うが2〜3年で治療を終了してしまう研究では移植を受けなかった患者の再発率は78〜87%と高い 5, 6)。 一方,イマチニブの投与を5年または無期限で続ける研究では,同種移植を受けなかった症例でも,無病生存割合がそれぞれ42. 7%(3年無病生存割合) 7),43%(5年無病生存割合) 8)と非常に良好である。 これらの研究から,Ph陽性ALLで同種移植を受けない場合には,TKIを含む維持療法が推奨され,TKIは治療開始から5年以上継続することが推奨される。 MRDを評価するなどしてTKIをいずれかの時点で中止にできるかどうかは現時点では不明である。 参考文献 1)Lonsdale D, et al. Interrupted vs. continued maintenance therapy in childhood acute leukemia. Cancer. 1975 ; 36 (2) : 341-52. (1iiDii) 2)Koizumi S, et al. Comparison of intermittent or continuous methotrexate plus 6-mercaptopurine in regimens for standard-risk acute lymphoblastic leukemia in childhood (JCCLSG-S811). Cancer. 1988 ; 61 (7) : 1292-300. (1iiDii) 3)Cuttner J, et al. Phase III trial of brief intensive treatment of adult acute lymphocytic leukemia comparing daunorubicin and mitoxantrone : a CALGB Study. Leukemia. 1991 ; 5 (5) : 425-31. (3iDii) 4)Goldstone AH, et al. Blood. 2008 ; 111 (4) : 1827-33. (1iiA) 5)Yanada M, et al. Prospective monitoring of BCR-ABL1 transcript levels in patients with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukaemia undergoing imatinib-combined chemotherapy. Br J Haematol. 2008 ; 143 (4) : 503-10. J Clin Oncol. 2010 ; 28 (22) : 3644-52. (3iiiA) 7)Kuang P, et al. Leuk Lymphoma. 2016 ; 16 : 1-9. (3iiA) 8)Daver N, et al. Final report of a phase II study of imatinib mesylate with hyper-CVAD for the front-line treatment of adult patients with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Haematologica. 2015 ; 100 (5) : 653-61. (3iiA) CQ14 再発例(Ph陰性前駆B細胞ALL,Ph陽性前駆B細胞ALL,前駆T細胞ALL)に対する再寛解導入療法の選択肢として何が推奨されるか 推奨グレード カテゴリー2B ALL再発例では前治療歴を考慮した再寛解導入療法を行う。 晩期再発例では初回寛解導入療法と同一のレジメンによる再治療も選択肢に入る。 推奨グレード カテゴリー2A Ph陽性ALLのイマチニブ継続中の再発ではダサチニブへの変更が妥当である。 BCR-ABL T315I変異陽性例ではポナチニブへの変更が妥当である。 推奨グレード カテゴリー2B 前駆T細胞ALLではネララビンが治療選択肢に加わる。 解説 ALLの再発は地固め療法中,維持療法中,維持療法終了後などさまざまな時期に起こり得るため,再発時期や前治療歴によって再寛解導入療法の内容が考慮される。 AdVP療法(DXR, VCR, PSL)やhyper-CVAD療法(CPA, VCR, DXR, DEX)に代表されるアントラサイクリン系抗腫瘍薬,ビンクリスチン(VCR),ステロイド薬併用療法,L-アスパラギナーゼ(L-Asp)を含む多剤併用療法,大量シタラビン療法を含む多剤併用療法 1)などが再発ALLに対する再寛解導入療法として治療成績が報告されている 2, 3)。 しかし,これらによる完全寛解(CR)率は全体として50%を下回り,特に寛解期間が1年未満の患者ではさらに低いとされる 1)。 再発・難治性前駆B細胞性ALLに対して,従来の多剤併用化学療法より高い効果が期待できる治療薬が最近開発されている。 CD22陽性再発・難治性ALLに対する抗CD22抗体薬物複合体イノツズマブ オゾガマイシン療法は,ランダム化比較試験において化学療法と比較して完全寛解率が高く,その結果,同種造血幹細胞移植により多くの患者が進むことができ,無増悪生存期間,全生存期間が優れていた 4)。 再発・難治性Ph陰性前駆B細胞性ALLに対する抗CD19二重特異性T細胞誘導抗体(blinatumomab)療法(国内未承認)は,ランダム化比較試験において化学療法と比較して完全寛解率が高く,全生存期間が優れていた 5)。 イマチニブ抵抗性変異を獲得した患者の一部ではダサチニブが有効であることが示唆される。 なおPh陽性ALLの再発例におけるダサチニブ併用化学療法の有効性と安全性は明らかではない。 Ph陽性ALLのうちダサチニブ,ニロチニブに対して治療抵抗性または不耐容例またはBCR-ABL T315I変異陽性例に対して,ポナチニブの有効性が示されている 7)。 T細胞性ALL(T-ALL)の再発・難治例ではネララビン(AraG)療法の有効性が示されている。 参考文献 1)Tavernier E, et al. Outcome of treatment after first relapse in adults with acute lymphoblastic leukemia initially treated by the LALA-94 trial. Leukemia. 2007 ; 21 (9) : 1907-14. Outcome of relapsed adult lymphoblastic leukemia depends on response to salvage chemotherapy, prognostic factors, and performance of stem cell transplantation. Blood. 2012 ; 120 (10) : 2032-41. (3iiA) 3)Thomas DA et al. Primary refractory and relapsed adult acute lymphoblastic leukemia : characteristics, treatment results, and prognosis with salvage therapy. Cancer. 1999 ; 86 (7) : 1216-30. (3iiiA) 4)Kantarjian HM et al. Inotuzumab ozogamicin versus standard therapy for acute lymphoblastic leukemia. N Engl J Med. 2016 ; 375 (8) : 740-53. (1iiA) 5)Kantarjian H et al. Blinatumomab versus chemotherapy for advanced acute lymphoblastic leukemia. N Engl J Med. 2017 ; 376 (9) : 836-47. (1iiA) 6)Ottmann O, et al. Dasatinib induces rapid hematologic and cytogenetic responses in adult patients with Philadelphia chromosome positive acute lymphoblastic leukemia with resistance or intolerance to imatinib : interim results of a phase 2 study. Blood. 2007 ; 110 (7) : 2309-15. (3iDiv) 7)Cortes E, et al. A phase 2 trial of ponatinib in Philadelphia chromosome-positive leukemias. N Engl J Med. 2013 ; 369 (19) : 1783-96. (3iDiv) 8)DeAngelo DJ, et al. Nelarabine induces complete remissions in adults with relapsed or refractory T-lineage acute lymphoblastic leukemia or lymphoblastic lymphoma : Cancer and Leukemia Group B study 19801. Blood. 2007 ; 109 (12) : 5136-42. (3iDiv).

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多発性骨髄腫 ~多剤併用でMRD(微小残存病変)陰性そして将来には治癒を目指す~

微小残存病変とは

「骨髄微小残存病変量測定」検査施設の認定に関する学会方針 2018年12月18日 日本小児血液・がん学会 急性リンパ性白血病(ALL)細胞の免疫遺伝子再構成を用いた定量的PCR法による骨髄微小残存病変の測定(以下、PCR-MRD検査)は、独立した予後因子としてエビデンスが確立しており、治療強度の選択の判断根拠となる重要な検査です。 日本小児血液・がん学会(以下、当学会)は、これまで先進医療で行われてきたPCR-MRD検査の保険収載を要望してきましたが、晴れて平成30年4月から「骨髄微小残存病変量測定」として保険収載されました。 そして、この検査は高度の精度管理が求められるため、厚生労働省の指導の下に、当学会が「骨髄微小残存病変量測定」検査施設の認定を行うことになりました。 検査施設の認定体制は、当学会の保険診療委員会精度管理小委員会による審査を行い、最終的に学会として承認するものです。 当学会の基本方針として、PCR-MRD 検査は EuroMRD で実施される検査精度と同等であるべきと考えています。 現在国内において、EuroMRD 認定取得の保険医療機関は愛知医科大学と国立病院機構名古屋医療センターであり、両機関の精度と同等であることの証明をもってEuroMRD で実施される検査精度と同等とみなします。 PCR-MRD検査施設の条件について 保険医療機関が「骨髄微小残存病変量測定」を保険適応検査として行うには以下の条件を満たす必要があります。 内科又は小児科を標榜する保険医療機関であること。 内科又は小児科の5年以上の経験を有する常勤の医師が配置されていること。 血液内科の経験を5年以上有している常勤医師が3名以上配置されていること。 関係学会(当学会)により認定された施設であること。 関係学会の定める遺伝子関連検査検体品質管理マニュアルを遵守し検査を実施していること。 また、保険医療機関以外の衛生検査所は、他の検査機関と連携(委託)して下記の認定要件を満たすことが当学会の検査施設認定を取得する条件になります。 患者特異的なプライマーを用いてリアルタイムPCRによるフォローアップ検体のMRD量の測定と結果の解析ができる。 1と2で実施するための設備、機器、人員を要する。 (人員にはEuroMRD認定施設で十分な研修を受けた常勤技術員を2名以上含むこと) 4. EuroMRD認定施設によって行われる資格認定試験に合格し、日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)の審査で認可を受ける。 EuroMRD認定施設に対して資格認定試験の受験を申請 2. EuroMRD認定施設にて解析済みの10症例を解析し、解析結果のデータを同施設に送付(認定試験) 3. 資格認定試験に合格した場合、EuroMRD認定施設から資格認定試験合格証明書を受領 4. 日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)へPCR-MRD検査施設認定申請書および施設概要登録書に資格認定試験合格証明書を添えて送付 5. 認定審査に合格した場合、同学会より認定証が発行される。 PCR-MRD検査施設認定の更新について 認可を受けたPCR-MRD検査施設は、年1回の精度管理ラウンドに参加し、その合格をもって資格の更新がなされます。 精度管理ラウンドは日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)が主催し、EuroMRD認定施設にその実施を委託して行われます。 2.解析結果をEuroMRD認定施設へ送付する。 3.合格した場合、EuroMRD認定施設から精度管理ラウンド合格証明書を受領、 不合格の場合は、精度管理小委員会にて設定された追加の検体の解析を実施する。 合格判定が得られるまで行う。 精度管理ラウンド合格証明書を日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)へ送付 5. 同委員会にて審査後、資格更新の認定証が発行される。 書類: 日本小児血液・がん学会認定施設 都道府県 施設名 認定日 認定期間 愛知 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 2020年4月1日 2020年4月1日~2021年3月31日 埼玉 株式会社ビー・エム・エル BML総合研究所 2020年4月1日 2020年4月1日~2021年3月31日 東京 エスアールエル遺伝子・染色体解析センター 2020年4月1日 2020年4月1日~2021年3月31日 総数 3施設(保険医療機関1施設、衛生検査所2施設)•

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JP2015521733A

微小残存病変とは

「骨髄微小残存病変量測定」検査施設の認定に関する学会方針 2018年12月18日 日本小児血液・がん学会 急性リンパ性白血病(ALL)細胞の免疫遺伝子再構成を用いた定量的PCR法による骨髄微小残存病変の測定(以下、PCR-MRD検査)は、独立した予後因子としてエビデンスが確立しており、治療強度の選択の判断根拠となる重要な検査です。 日本小児血液・がん学会(以下、当学会)は、これまで先進医療で行われてきたPCR-MRD検査の保険収載を要望してきましたが、晴れて平成30年4月から「骨髄微小残存病変量測定」として保険収載されました。 そして、この検査は高度の精度管理が求められるため、厚生労働省の指導の下に、当学会が「骨髄微小残存病変量測定」検査施設の認定を行うことになりました。 検査施設の認定体制は、当学会の保険診療委員会精度管理小委員会による審査を行い、最終的に学会として承認するものです。 当学会の基本方針として、PCR-MRD 検査は EuroMRD で実施される検査精度と同等であるべきと考えています。 現在国内において、EuroMRD 認定取得の保険医療機関は愛知医科大学と国立病院機構名古屋医療センターであり、両機関の精度と同等であることの証明をもってEuroMRD で実施される検査精度と同等とみなします。 PCR-MRD検査施設の条件について 保険医療機関が「骨髄微小残存病変量測定」を保険適応検査として行うには以下の条件を満たす必要があります。 内科又は小児科を標榜する保険医療機関であること。 内科又は小児科の5年以上の経験を有する常勤の医師が配置されていること。 血液内科の経験を5年以上有している常勤医師が3名以上配置されていること。 関係学会(当学会)により認定された施設であること。 関係学会の定める遺伝子関連検査検体品質管理マニュアルを遵守し検査を実施していること。 また、保険医療機関以外の衛生検査所は、他の検査機関と連携(委託)して下記の認定要件を満たすことが当学会の検査施設認定を取得する条件になります。 患者特異的なプライマーを用いてリアルタイムPCRによるフォローアップ検体のMRD量の測定と結果の解析ができる。 1と2で実施するための設備、機器、人員を要する。 (人員にはEuroMRD認定施設で十分な研修を受けた常勤技術員を2名以上含むこと) 4. EuroMRD認定施設によって行われる資格認定試験に合格し、日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)の審査で認可を受ける。 EuroMRD認定施設に対して資格認定試験の受験を申請 2. EuroMRD認定施設にて解析済みの10症例を解析し、解析結果のデータを同施設に送付(認定試験) 3. 資格認定試験に合格した場合、EuroMRD認定施設から資格認定試験合格証明書を受領 4. 日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)へPCR-MRD検査施設認定申請書および施設概要登録書に資格認定試験合格証明書を添えて送付 5. 認定審査に合格した場合、同学会より認定証が発行される。 PCR-MRD検査施設認定の更新について 認可を受けたPCR-MRD検査施設は、年1回の精度管理ラウンドに参加し、その合格をもって資格の更新がなされます。 精度管理ラウンドは日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)が主催し、EuroMRD認定施設にその実施を委託して行われます。 2.解析結果をEuroMRD認定施設へ送付する。 3.合格した場合、EuroMRD認定施設から精度管理ラウンド合格証明書を受領、 不合格の場合は、精度管理小委員会にて設定された追加の検体の解析を実施する。 合格判定が得られるまで行う。 精度管理ラウンド合格証明書を日本小児血液・がん学会保険診療委員会(精度管理小委員会)へ送付 5. 同委員会にて審査後、資格更新の認定証が発行される。 書類: 日本小児血液・がん学会認定施設 都道府県 施設名 認定日 認定期間 愛知 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 2020年4月1日 2020年4月1日~2021年3月31日 埼玉 株式会社ビー・エム・エル BML総合研究所 2020年4月1日 2020年4月1日~2021年3月31日 東京 エスアールエル遺伝子・染色体解析センター 2020年4月1日 2020年4月1日~2021年3月31日 総数 3施設(保険医療機関1施設、衛生検査所2施設)•

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